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認知症の症状別の具体的ケア
1.認知症の症状別の具体的ケア

こんな時、どうする?
対応のポイント 徘徊には、理由がある。
高齢になっても、認知症になっても、人はそれまでのように住みたいところに住み、したいことをして暮らす権利があります。

日々の生活をその人の望んでいるものにできる限り近づけるような自立支援を行うことが重要です。自らの意思に基づき、自立した質の高い生活が送れるよう私たちは支援していくことが望まれます。

認知症になってももっている能力と障害とされている機能を適切に評価、把握し、その人らしい生活ができるような支援と、その人にみられる不自由を埋めるような支援を心がけることが重要です。

次に個々の症状に対してのケアについて具体的に取り上げますが、認知症のために生じた行動について言葉だけではとらわれないようにします。

例えば「徘徊」という熟語だけで考えると認知症の人の徘徊をどう止めさせるのかということだけに注意がいき手がかりがないからです。



弄便(ろうべん)
弄便という行為だけをとらまえると明らかに異常な行動です。しかし、認知症の高齢者は無意味に便をいじっているわけではないのです。

誰でも、オムツに排便すれば気持ち悪くなります。気持ちが悪く不快になればオムツをはずそうとするのも当然です。きちんとオムツをはずして、処理ができれば問題がないわけですが、これがうまくいかずに手や衣類、寝具や周囲を汚す結果となってしまうわけです。

いわゆる弄便の直接的な原因は便失禁であり、排便行為とその後始末がうまく行えないことで弄便が発生します。

また認知症の症状が重くなって、便が出たという感覚がなくなり、便を便として認識できなくなり、便をなめたり、丸めたりして遊ぶこともあります。認知症高齢者の排便習慣やトイレでの後始末に配慮することで弄便を防ぐことができます。

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徘徊
家に帰りたいといって歩き回る場合、「昔の家はもうない」などと説明しても納得はしません。また頭ごなしに否定すると感情的になり、徘徊を増長することになります。

むしろ「家に帰りたい」気持ちをくみ取り、「今日はもう電車がないから明日いっしょに行こう」などと説明し、いったん気持ちを別のことに向けさせたり、「いっしょに行こう」と家の周りをひと周りすると気がすむこともあります。

探し物をして徘徊している場合は本人と一緒に探したりして、物を探している本人の気持ちを理解することが大切です。
思考・判断力の障害や何らかの刺激によって高揚や不安で徘徊している場合は、周囲が「いっしょに協力して」行う態度で本人が安心感を得られるような環境で、穏やかに接する必要があります。

言葉による説明よりなじみのある人が傍にいることが大切です。 徘徊が屋外に及ぶ場合は行方不明や怪我などの危険には十分注意が必要です。

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失禁
排泄の失敗は、ふつう尿失禁から始まります。まず気をつけなければならないのは、その失禁が膀胱炎や前立腺の病気によるものでないかを確認することです。

治療すればよくなる場合も多くあります。排尿の失敗は、まずお手洗いの場所がわからないために起こります。特に、夜間、尿意があって目を覚ましても、暗くてよく見えず、うろうろしているうちに失禁してしまいます。その段階でしたら夜間、廊下の電気をつけっぱなしにしておくだけでも効果はあります。

またドアの向こうにお手洗いがあることがわからなくなってきたら電気をつけっぱなしにし、ドアを開けておくとわかります。その頃には素早く衣類の着脱ができないのでせっかくお手洗いにたどり着いても、衣類や便器の周辺を汚したりします。着脱の楽な衣類にしたり、少し時間の余裕をみるよう声をかける必要があります。

やがて尿意があってもどこにいくのかどうするのかわからなくなって失禁するという時期になると、排尿の時間を見計らってお手洗いにつれていきます。その頃は便失禁も起こりがちなので、決まった時間に排便するよう習慣づけ、その時刻に便器に座らせて排便を促すようにすればかなり後まで便失禁を防げます。

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睡眠障害
夜になってもなかなか眠らないで、家の中をうろうろしたり、夜中に何度も起こされたりすると「こんな時間にうろうろしないで」といいいがちですが、本人は「昼寝をしたから眠れない」「すぐに目が覚めたから起きただけ」「お腹がすいた」など理由があります。

高齢になると睡眠のサイクルが短くなるのですが、健康な高齢者なら生活に合わせてコントロールできますが、認知症になるとできません。昼寝をしたりして日中の運動量が少なかったり、眠りが浅くなります。一緒に散歩したり、家事を手伝ってもらったり、デイサービスを利用したりして昼間の時間の運動量を増やすことが必要です。 ぐっすり眠るために、寝る前に足湯で温めることも効果的です。 落ち着かないときは、隣で家族がしばらく横になると安心して眠る場合もあります。

また認知症になると満腹中枢が鈍くなることがあり、食事をしても寝る頃に空腹感を感じて眠れなくなることがあるので、カステラや温めたミルクなど消化のいいものを食べると落ち着くこともあります。

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帰宅願望
夕方になると落ち着かなくなり「家に帰らなければ」といいだします。そこで「今いるここが家でしょう」「いったいどこに帰るつもりなの」といっても通じません。

本人は「ここはどこだろう。知らないところにいつまでもいるのは不安なので、早く家に帰りたい」「暗くなってきたから家に帰らなければ」と思っているのです。自分がどこにいるのかわからなくなってきて、今いる所が知らない場所になってしまっています。不安なので家に帰りたいのです。

また意識が若いころや幼いころにもどってこどもの頃の家を探したりします。 「遅いから、もう一晩泊まっていってください」と引き止めたり、「車を呼びましたから、 来るまでお茶を飲みましょう」といって気持ちをそらします。 「帰りたい」という本人の気持ちに寄り添いながら落ち着かすことが大切です。

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